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 童謡『たなばたさま』は、作詩は権藤はなよ 、作曲は下総皖一によるもので、昭和16年(1941年)3月に文部省が発行した「うたのほん 下」に掲載された唱歌です。

 

 詩題にある「たなばたさま(七夕様)」の「さま(樣)」は、子供向けに七夕行事を丁寧に言ったもので、特に意味はありません。
 しかしながら、発音は「ta-na-ba-ta-sa-ma」と全ての音がァ(a)行の連続で揃えられて子供向けの韻を踏んでいます。

 

 童謡として作られたこの詩は、作詩当時であれば子供にも分かる平易なものでしたが、70年以上を経た現在では使われていない用語もありますので、次にいくつか解説しておきます。

 「のきば(軒端)」とは、昔の木造家屋の構造用語で、軒とは建物の外壁から張り出した屋根の庇のこと、軒端とは更にその左右の端っこのことを言います。

 当時、七夕の笹竹は軒端に飾られるのが一般的でした。

 

 「きんぎんすなご(金銀砂子)」とは、金箔、銀箔を細かくして、粉状にしたもののことで、蒔絵やふすま絵、色紙などに吹きつけて煌めくような装飾を施すためのもので、当時は非常に高価なものでした。

 この詩では、満天の星々が砂子を散りばめたように光り輝いている様子を表しています。

 また、子供が歌いやすいように、「すなご」の語尾は、次の詩語の「ごしき」の語頭と韻を踏んでいます。 

 

 「ごしきのたんざく(五色の短冊)」とは、「青、赤、黄、白、紫(黒)」の色とりどりの短冊のことで、これは、古代支那の五行思想に由来するもので、萬物を構成する「木・火・土・金・水」の5種類の元素を表わしています。

  この中で「水」を表す「紫」は、本来は「黒」ですが、日本では黒は好まれず、また「黒」では墨で文字を書いても読めないことから「紫」に変更されています。

 なお、古代支那から伝わったこの行事は、日本では江戸時代から短冊などを笹に飾って願い事をする風習として定着していますが、他の漢文化圏では織女のモデルでこの日が誕生日とされる七娘媽を祀ったり、織女にあやかって裁縫の上達を願い五色の糸を針に通したりする習俗はありますが、笹に何かを飾ることはありません。

 

 

  たなばたさま
  七夕様

               作詞:権藤はなよ 補作詞:林柳波 作曲:下総皖一

 ささの葉さらさら のきばにゆれる
 お星さまきらきら きんぎんすなご

 小竹葉沙沙作響 在屋簷邊搖晃
 星星閃亮 如金銀小粒沙

 

 ごしきのたんざく わたしがかいた
 おほしさまきらきら そらからみてる

 五彩短箋 我寫了(許願)
 星星閃亮 從天空看著

 

 

 

   七夕


 短箋掛小竹

 遙思玉山頭

 皓皓河漢女

 更値一年秋

 

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