「翼をください」(つばさをください)は、日本のフォークグループの「赤い鳥」(1969年 - 1974年)が1970年に演唱し、翌1971年にシングルレコードとして発表した楽曲で、作詞は山上路夫、作曲は村井邦彦が担当しています。

 

 この曲は、1970年11月に三重県志摩郡浜島町(現:志摩市)にある総合リゾート施設「合歓の郷」(ねむのさと)で開かれた、ヤマハ音楽振興会が主催するプロ作曲家の音楽コンテスト「合歓(ねむ)ポピュラーフェスティバル'70」(後の「ポプコン」)のために作られたものです。

 

 この楽曲を「赤い鳥」が公の場で演唱したのはこの時が初めてでしたが高評価を得て、作曲家の村井邦彦は「川上賞」(振興会創設者の川上 源一の名を冠した賞)を受賞し、「赤い鳥」は歌手部門で「新人奨励賞」を受賞しています。

 

 歌詞の内容は、「翼を付けて悲しみの無い大空へ飛んで行きたい。」と詠ずるもので、ある意味現実逃避を表現しています。
 これは、1970年代の安保闘争や学園紛争に揺れた時代背景から生ずる若者の憂愁や厭世観を、ヒューマニズムを詠ずることを得意とする当時34歳になったばかりの作詞家の山上路夫が夢想的かつ象徴的に表現したものです。

 

 この曲は元々作曲家の村井邦彦が参加する作曲コンクール用に作られたことから、「赤い鳥」としてはあまり重要な楽曲とは見做していなかったようで、翌1971年2月5日 にシングルレコードとして発表した時には、「竹田の子守唄」のB面曲として収録しています。

 

 歌詞の内容がメルヘンチックではあるものの厭世的で決して明るいものではないことから、発表時にもそれほどヒットはしていませんが、その後徐々に人気が高まり、寧ろ1974年に「赤い鳥」が解散してからの方が評価が上がって、学校の音楽の教科書に採用されて教育の場でも使われるなど、既に解散している「赤い鳥」の代表曲となりました。

 

 この楽曲には、編曲はフォーク調からロック調、歌詞も一部省略したものから逆に繰り返しを増やしたものなど様々なバージョンが存在します。

 

 今回は、伊賀山人が某大4学年であった1972年(昭和47年)に、まだ期待の新人グループであった「赤い鳥」を某大開校祭前夜祭に招待したときに演唱したのと同じライブバージョンでご紹介します。

 

 なお、この前夜祭には、伊賀山人は空手の模範演武で参加しましたので、リハーサルから本番まで「赤い鳥」と行動を共にしていました。
 それまで開校祭に招いた歌手の殆どは、リハーサルでは音合わせをするだけで殆ど歌う人はいませんでしたが、このグループに限っては、リハーサルでも全員でフルコーラスを歌っている真摯な姿が印象的でした。
 また、リハーサル時の服装は普段着のジーンズにジャケット姿でしたが、リハーサル後ステージ衣装に着替えてくるといって楽屋に下がりました。
 所詮は新人のフォークグループですので、それほど煌びやかで豪華な衣裳ではあるまいと思っていましたが、再び現れた彼らの姿を見て驚きました。
 確かに着替えてはいますが、リハーサルの時と大差さない普段着のジーンズにジャケット姿でした。
 新調した普段着なのか、それとも何かのブランド物なのか、いづれにしても観客席から見てもその違いは分かりません。
 本番を迎えるにあたって、先ずは形を整えて精神を集中するというプロ意識の現れであったように、半世紀近くを経た今になって思っています。

 

 

 翼をください
 給我一對翅膀
                     作詞:山上路夫 作曲:村井邦彥 演唱:赤い鳥

 

いま私(わたし)の願(ねが)いごとが
かなうならば    翼(つばさ)がほしい
この背中(せなか)に    鳥(とり)のように
白(しろ)い翼(つばさ)つけてください

如果我的心願能夠實現
希望上天給我一對翅膀
就像鳥兒一樣在我背上
讓我有一對雪白的翅膀

 

この大空(おおぞら)に    翼(つばさ)をひろげ
飛(と)んで行(ゆ)きたいよ
悲(かな)しみのない    自由(じゆう)な空(そら)へ
翼(つばさ)はためかせ    行(ゆ)きたい

好想在這片廣闊天空之上
盡情展翅飛翔
向著沒有悲傷的自由天空
讓風托起翅膀  飛向遠方

 

<間奏>

 

いま富(とみ)とか名譽(めいよ)ならば
いらないけど    翼(つばさ)がほしい
子供(こども)の時(とき)    夢見(ゆめみ)たこと
今(いま)も同(おな)じ    夢(ゆめ)に見(み)ている

與其給我財富或者名氣
寧願上天給我一對翅膀
小時候曾經做過的夢想
如今還在我的心上

 

この大空(おおぞら)に    翼(つばさ)をひろげ
飛(と)んで行(ゆ)きたいよ
悲(かな)しみのない    自由(じゆう)な空(そら)へ
翼(つばさ)はためかせ…

好想在這片廣闊天空之上
盡情展翅飛翔
向著沒有悲傷的自由天空
讓風托起翅膀…
 

 

この大空(おおぞら)に    翼(つばさ)をひろげ
飛(と)んで行(ゆ)きたいよ
悲(かな)しみのない    自由(じゆう)な空(そら)へ
翼(つばさ)はためかせ…

好想在這片廣闊天空之上
盡情展翅飛翔
向著沒有悲傷的自由天空
讓風托起翅膀…
 

 

この大空(おおぞら)に    翼(つばさ)をひろげ
飛(と)んで行(ゆ)きたいよ
悲(かな)しみのない    自由(じゆう)な空(そら)へ
翼(つばさ)はためかせ    行(ゆ)きたい~

好想在這片廣闊天空之上
盡情展翅飛翔
向著沒有悲傷的自由天空
讓風托起翅膀  飛向遠方~

 

 


赤い鳥 翼を下さい(ライヴ)

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