【アメリカ同時多発テロでのユナイテッド93便の墜落現場に設置された仮設の追悼碑】
  (碑文の表題は「Angels of Freedom(自由の天使たち)」と記されている。)

 

"Little Did She Know" (彼女には知る由もなかった)は、アメリカのシンガーソングライターのクリスティー・ジャクソン(Kristy Jackson、1955.8.31-)が2001年にShe'd Kissed A Hero(彼女はヒーローに口づけしたのだった)の副題を付けて発表した楽曲です。

 

 この楽曲は、2001年9月11日に国際テロ組織のアルカイダが引き起こしたアメリカ同時多発テロの際、ハイジャックされた4機の飛行機のうち、唯一、乗客乗員の戦いにより、テロリストの目的(国会議事堂かホワイトハウスの破壊)を阻止した、ニューアーク発サンフランシスコ行のユナイテッド航空93便で、乗客・乗員のリーダーとなってテロリストと戦ったトッド・モーガン・ビーマー(Todd Morgan Beamer、1968.11.24 – 2001.9.11)を始めとして犠牲になった彼らを追悼し、その功績をたたえるために作られたものです。

 

 トッド・M・ビーマーは、アメリカ合衆国カリフォルニア州に本拠を置くソフトウェア会社のオラクル社(Oracle Corporation)で販売促進を担当する営業マンでした。
 彼は、妻と二人の息子と共にニュージャージー州クランベリーに居住していました。
 この事件の日には、顧客のソニー社の代表との会議に出席するためにサンフランシスコ行きのユナイテッド航空93便に搭乗して事件に遭遇してしまいました。

 

 歌詞の中に登場する彼の妻リサ・ブロシアス(Lisa Brosious Beamer、1969.4.10ー)とはウィートン大学(Wheaton College)の同級生で、彼らの初デイトの日が1991年11月2日であったことから、この当時10年目の記念日のお祝いを計画していました。
 また、妻のリサは彼らの3人目の子供を身ごもっており、翌年1月が出産予定でした。

 

 歌詞の中では、機内のビーマーが妻と直接電話により会話する設定になっていますが、実際は彼が使った機内電話はカスタマーセンターに転送されたため、彼が話したのは偶然同じ名前のリサでしたが、GTE機内電話サービス会社の電話監督者のリサ・ジェファーソン(Lisa Jefferson)でした。 
 ビーマーはジェファーソンに "If I don't make it, please call my family and let them know how much I love them." (私が電話できなかったら、私の家族に電話して、私がどれほど彼らを愛しているかを知らせてください。」と要請しました。
 その直後、ジェファーソンは機上の誰かのくぐもった声を聞き、それにビーマーがはっきりした声で "Are you ready? Okay. Let's roll!" (準備はできてるか? 大丈夫。さあやろう!」と答えるのを聞きました。これがビーマーの最後の言葉になりました。

 

筆者注:

「Let's roll.」(さあやろう)とは、100年くらい前からアメリカで使われている俗語で、「Let's go.」(さあ行こう)或いは「Let's begin.」(さあ始めよう)を強調する用法です。「roll」が「転がり込む」「なだれ込む」という勢いを表わす動詞ですので、使い方としては、例えば刑事が犯人の立てこもる家のドアーを蹴破って転がり込む直前に使用されます。

 一般人がこの言葉を使うことは滅多にありませんが、ビーマーは少年ソフトボールの監督もしていましたので、とっさにこの言葉が出たのかもしれません。いずれにしても、この時のビーマーの覚悟の程が窺われる一句となっています。

 この「Let's roll.」(さあやろう)は、この後展開されたアメリカによるアルカイダ掃討作戦において、米軍兵士の合言葉にもなりました。また、この事件を題材にした映画の題名にも使用されています。

 

 この "Little Did She Know" (彼女には知る由もなかった)は、クリスティー・ジャクソンが発表してから、多くの歌手によってカバーされています。

 

 その中から、今回はパティ・ペイジ(Patti Page、本名:Clara Ann Fowler、1927年11月8日 - 2013年1月1日)の演唱でご紹介します。
 1950年のテネシーワルツの大ヒットから58年、2008年に発表したアルバム「Best Country Songs」に収録しているカバー版です。
 「絹の声」と称されたパティ・ペイジ、御年81歳で「麻の声」となって若い時以上に情感豊かに演唱しています。

 

 

Little Did She Know
彼女には知る由もなかった
她一點都不知道 

 

He found some socks
She choose his tie
When he left for work that mornig
He was just another guy
Going to work
He'd have to fly
Out to a meeting in L.A
So she had kissed him twice goodbye

彼は何足かの靴下を探し出した。
彼女は彼のネクタイを選んだ。
その朝彼が仕事に行こうとしているとき
彼はまるで別人だった。
彼は仕事に行くため
飛行機に乗らねばならなかった。
ロサンゼルスでの会議に行くため。
そこで彼女は彼に2回さようならのキスをした。

他找到了一些襪子,
她選擇了領帶。
那天早上他去上班時,
他只是另一個人。
他必須上飛機
去洛杉磯開會,
所以她吻了他兩次道別

 

Little did she know she'd kissed a hero
Though he'd always been one in her eyes
But when faced with certain death
He said a prayer and took a breath
And led an army of true angels in the sky
Little did she know she'd kissed a hero
Though he'd always been an angel in her eyes
Putting others first its true..
Thats what heroes always do
And now he doesnt need a pair of wings..to fly

彼女には知る由もなかった。彼女がキスした相手は一人のヒーローであったことを。
彼女の目には彼はいつでもヒーローとして映っていたにもかかわらず。
しかし、確実な死に直面したとき、
彼は祈りをささげ、息をのみ、
そして、その大空の中で真の天使の軍団を指揮した。
彼女には知る由もなかった。彼女がキスした相手が一人のヒーローであったことを。
彼女の目には彼はいつでも天使として映っていたにもかかわらず。
他人のことを第一に考えるということは、真に…
ヒーローたちが常に行うやりかたである。
そして今、彼に双翼は不要となった…空飛ぶための双翼は。

她幾乎不知道自己曾親吻過一個英雄。
儘管他一直是她的英雄。
但是當面臨一定的死亡時,
他說了祈禱,深吸了一口氣,
並帶領一支由真天使組成的大軍在空中。
她幾乎不知道自己曾親吻過一個英雄。
儘管他一直是她眼中的天使。
首先將別人的本來面目..
這就是英雄們一直在做的事情。
現在,他不需要一對翅膀..爲飛舞

 

The phone had rung
His voice was calm
Before he could tell her anything
She knew something was wrong
"I Love You So"..
Last words he said
She said "I Love You Too"..
Then the phone went dead

電話が鳴った。
彼の声は落ち着いていた。
彼が何かを話す前に
彼女は何か悪いことが起こったと分っていた。
 "I Love You So" ..
それが彼の最後の言葉だった。
彼女は" I Love You Too "..と言った。
そして電話は途切れた。

電話響了。
他的聲音情緒很平靜。
在他能告訴她任何事情之前。
她知道某事是不對的。
“我愛你如此。”
最後一句話他說。
她說“我也愛你”。
然後電話壞了。

 

Little did she know she'd kissed a hero
Though he'd always been one in her eyes
But when faced with certain deaths
He'd said a prayer and take a breath
And led an army of true angels in the sky
Little did she know she'd kissed a hero
Though he'd always been an angel in her eyes
Putting others first its true
Thats what heroes always do
And now he doesnt need a pair of wings to fly

彼女には知る由もなかった。彼女がキスした相手は一人のヒーローであったことを。
彼女の目には彼はいつでもヒーローとして映っていたにもかかわらず。
しかし、確実な死に直面したとき、
彼は祈りをささげ、息をのみ、
そして、その大空の中で真の天使の軍団を指揮した。
彼女には知る由もなかった。彼女がキスした相手が一人のヒーローであったことを。
彼女の目には彼はいつでも天使として映っていたにもかかわらず。
他人のことを第一に考えるということは、真に…
ヒーローたちが常に行うやりかたである。
そして今、彼に双翼は不要となった…空飛ぶための双翼は。

她幾乎不知道自己曾親吻過一個英雄。
儘管他一直是她的英雄。
但是當面臨一定的死亡時,
他說了祈禱,深吸了一口氣,
並帶領一支由真天使組成的大軍在空中。
她幾乎不知道自己曾親吻過一個英雄。
儘管他一直是她眼中的天使。
首先將別人的本來面目..
這就是英雄們一直在做的事情。
現在,他不需要一對翅膀..爲飛舞

 

Now he doesnt need pair of wings...to fly 
今彼に双翼は必要ない...天使となって空飛ぶための双翼は…
現在他不需要雙翼了..爲飛舞

 

 

 

 

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 「桃花源」(とうかげん)は、日本のシンガーソングライター・さだまさしが1977年7月25日にリリースしたアルバム『風見鶏』の中の1曲です。

 

 この楽曲は、さだの弟の佐田繁理が台湾大学へ留学中に採譜してきた曲にさだが詩を付けて完成したものです。
 『風見鶏』発表時には、作曲者不詳としていましたが、その後、作曲者が判明したため、1978年2月10日にシングルカットした時から、「劉家昌作曲(佐田繁理採譜)」とクレジットを変更しています。

 

 牧歌的な故郷を詠ずるという意味では、劉家昌の原曲「我家在那裡」(私の家はそこに在る)も、さだの「桃花源」も詩情は良く似ていますが、「我家在那裡」が故郷の暖かい我が家での平和な暮らしを詠じているのに対し、「桃花源」では、離れて暮らす恋人を思いやる内容も含められています。

 

 なお、「桃花源」とは、東晋の詩人陶淵明の書いた物語「桃花源記」に示された理想郷のことで、さだの詩では美しく長閑な故郷を理想郷と見做して詠じています。

 

 

     ♪桃花源 
                    詞 さだまさし 曲 劉家昌 1977年(S52)
     
あなたの便りが峠を越えて      你的來信超過山巔
私のお家に届く頃           到達我的家的時候  
南風吹いて稲穂がそよぎ       南風吹稻穗微微搖動
あなたの里は黄金に染まる     你的裡染上為金黃色
         

 

川のほとりには水車がひとつ     在河旁邊水車一個 
静かに時を刻んでいます        安靜地刻畫著時候
野苺色した夕陽の中に          野莓顏色下面夕陽向中
荷馬車の影絵が浮かんでいます   運貨馬車的影畫浮現著

 

仔牛が生まれたことのほかには    仔牛出生的特別
何にも変わりはないけれど       什麼也變化沒有,不過
あなたを待つ日々のたわむれにと   等你的每天的向玩笑
私は編み物覚えました          我編織記了東西編方法

 

 

 

 

 

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テーマ:
さだまさし
 

 【島根県津和野の冬景色】

 

 「案山子」(かかし)は、日本のシンガーソングライター・さだまさしが作詞・作曲して1977年11月25日に発表した楽曲で、さだの代表作の一つです。

 

 詩の中には登場人物についての直接的な言及はありませんが、その内容は都会で一人暮らしをする「誰か」(弟か妹と解釈できる)を雪の中にぽつんと立つ案山子になぞらえ、故郷にいる兄(言葉遣いから姉ではない)が気遣うメッセージとなっています。

 

 元々、この詩にイメージされている「誰か」とは、さだの実弟の佐田繁理(さだ しげり、1954年12月13日 -、現さだ企画代表取締役社長 )のことです。
 彼は、長崎南山高等学校卒業後の1973年に中華民國國立台灣大学(旧大日本帝國臺北帝國大學)へ留学するため、18歳で単身台湾に渡りました。

 

 さだによれば、この曲は日本へ里帰り中の弟と一緒に、大分から福岡へ列車で移動する際に見た景色が切っ掛けとのことです。

 

 その日は雪が降っており、車窓から雪の中に案山子がぽつん立っているのを見たさだは、「かわいそうにな、雪の中に立ってて」と話しかけました。
 繁理は鈍い反応しか示しませんでしたが、さだはその風景と、自身が経験した都会での一人暮らし、そして弟の台湾留学中の思い出などが重なり、この曲を思いついたといいます。
 なお、さだによれば、「曲の原風景は津和野(島根県)、インナースリーブの表紙の写真の撮影は琵琶湖のほとり」とのことです。

 

 蛇足ながら、「案山子」とは、田や畑などの中に設置して鳥などの害獣を追い払うための等身大の人形やそれに類するなんらかの仕掛けのことです。

 

 また、詩の中で、「手紙が無理なら 電話でもいい」という句がありますが、この句を理解するには、当時の社会情勢を知っておく必要があります。

 

 当時、高度経済成長期ではありましたが国民の大多数は貧しく、実家を離れて都会の大学に通う学生は経済的にはぎりぎりの生活をしていました。

 

 家族への連絡手段として、今のように携帯電話やスマホなどは有りません。
 公衆電話は有りましたが、東京から九州への電話料金は10円でたったの1~2秒なので、10円玉を100個くらい握りしめて行っても3分ほどしか話すことはできません。
 その僅か3分間の電話代1000円は当時の学生にとっては大金で、ほぼ3日分の食費に相当しました。
 従って、余程緊急のことでもなければ電話を掛けることなど許されず、時間をかけて手紙を書くのが普通でした。

 

 、「手紙が無理なら 電話でもいい」とは、弟が都会の一人住まいで学業やアルバイトに忙しく手紙を書く時間の余裕がないのであれば、電話代が嵩んでもそれくらいのものは自分が仕送りしてやるからおふくろに安否を知らせてやってくれと言う、主人公の母親と弟への優しい思いが言外に込められているのであります。

 

 

      案山子:稻草人
                           作詩・作曲:佐田雅志(さだまさし)

 

元氣でいるか 街には慣れたか        過得還好嗎? 習慣那個城鎮了嗎?
友達出來たか                    交到朋友了嗎?
寂しかないか お金はあるか          寂寞不寂寞呢? 身上還有錢嗎?
今度いつ掃る                    下次什麼時候回來呢?

 

城跡から見下せば 蒼く細い河           從舊城址俯瞰 有藍色小河流過
橋のたもとに 造り酒屋のレンガ煙突        橋畔旁酒廠的煉瓦煙囪
この町を綿菓子に染め拔いた雪が消えれば   覆蓋這城鎮如棉花糖般的白雪融化
お前がここを出てから初めての春          這是你離開這裡後的第一個春天


手紙が無理なら 電話でもいい        如果沒空寫信 打通電話回來也行
「金賴む」の一言でもいい            就算只說一句「寄錢來」也好
お前の笑顏を待ちわびる            讓期盼看到你笑容的母親
おふくろに聽かせてやってくれ         聽聽你的聲音吧

 

元氣でいるか 街には慣れたか       過得還好嗎? 習慣那個城鎮了嗎?
友達出來たか                  交到朋友了嗎?
寂しかないか お金はあるか         寂寞不寂寞呢? 身上還有錢嗎?
今度いつ掃る                   下次什麼時候回來呢?

 

山の麓煙吐いて列車が走る            吐著煙的列車在山麓奔馳
木枯らしが雜木林を轉げ落ちて來る       寒風吹落雜樹林的樹葉
銀色の毛布つけた田圃にぽつり          覆蓋銀色毛毯的田圃中
置き去られて雪をかぶった 案山子がひとり  矗立著一尊覆滿白雪孤零零的稻草人

 

お前も都會の雪景色の中で          你在都市的雪景中
丁度 あの案山子の樣に            就像那個稻草人一樣
寂しい思いしてはいないか           會不會感到很寂寞?
體をこわしてはいないか             有沒有搞壞身體呢?

 

 

手紙が無理なら 電話でもいい        如果沒空寫信 打通電話回來也行
「金賴む」の一言でもいい            就算只說一句「寄錢來」也好
お前の笑顏を待ちわびる            讓期盼看到你笑容的母親
おふくろに聽かせてやってくれ         聽聽你的聲音吧

 

元氣でいるか 街には慣れたか       過得還好嗎? 習慣那個城鎮了嗎?
友達出來たか                  交到朋友了嗎?
寂しかないか お金はあるか         寂寞不寂寞呢? 身上還有錢嗎?
今度いつ掃る                   下次什麼時候回來呢?

 

寂しかないか お金はあるか         寂寞不寂寞呢? 身上還有錢嗎?
今度いつ掃る                   下次什麼時候回來呢?

 


案山子(稻草人) 佐田雅志 中文歌詞

 

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