「会いたい」は、日本のシンガーソングライター沢田 知可子(さわだ ちかこ、1963年8月4日 - )が自身4枚目となるアルバム『I miss you』に収録して 1990年6月27日に発表した楽曲です。
 この曲は、アルバム発売と同日にシングル版も発売されています。

 

 作曲はシンガーソングライターの財津 和夫(ざいつ かずお、1948年2月19日 - )と表示されていますが財津はメロディーの一部分を書いただけで、実際は編曲を担当したミュージシャンの芳野 藤丸(よしの ふじまる、1951年4月21日 - )が作曲も担当しています。
 作詞は作詞家の沢 ちひろ(さわ ちひろ-、女、生年非公開3月17日 - 2016年2月)で、歌詞の内容は高校の同級生であった恋人の在りし日を回想し会いたいとする乙女の叶わぬ願いを詠じたものです。

 

 歌手の沢田は、この楽曲に関して、「学生時代、歌手になろうと決意したことをバスケット部の先輩に告白したところ『俺が最初のファンになってやるよ』と彼は言ってくれた。しかしその数日後、彼は交通事故で亡くなってしまう。この出来事がこの曲の内容に重なるところがあった。」と語っているため、この歌詞は沢田の体験談のように思っている人もいますが、そうではありません。
 詞人の沢ちひろは、「歌詞は自身が幼いころに死別した母との思い出を元に書いたものです。」と語っています。
 詞人の幼児体験を元にして書かれたこの歌詞には所謂詩的な抽象表現は一切なく、「死んでしまった」を始めとして、ある意味子供じみているとさえ思われる具体的な表現でつづられています。

 

 人生には數多くの出会いがあり、また同じ數の別れがあります。
 年を重ねる程に死別を体験することも増えてきます。
 別れの悲しみを知る人の心を打つ説明不要の1曲、沢田知可子の原唱で日文字幕版と漢文字幕版をご紹介します。
 

 

 会いたい
 想見你

                 作詞:沢ちひろ 作曲:財津和夫 編曲:芳野藤丸 

                 演唱:澤田知可子

ビルが見える教室で
ふたりは机 並べて
同じ月日を過ごした
少しの英語と バスケット そして
私はあなたと恋を覚えた

在看得見高樓大廈的教室裡
我們倆把桌子靠在一起
度過了同樣的日日月月
一起學了點英文 一起打籃球 然後
我跟你有了戀愛的感覺

 

卒業しても私を
子供扱いしたよね
「遠くへ行くなよ」と
半分笑って 半分 真顔で
抱き寄せた

畢業之後
你還是把我當小孩子
對我說「不要跑太遠喔」
帶著一半的玩笑 一半的認真態度
把我抱進你胸懷

 

低い雲を広げた 冬の夜
あなた 夢のように
死んでしまったの

冬天的夜晚 低沉的雲覆蓋天空
而你 就像夢一般
死去了

 

今年も海へ行くって
いっぱい 映画も観るって
約束したじゃない
あなた 約束したじゃない
会いたい…

今年我們也要去海邊
要看好多好多電影
不是說好了嗎
你 不是說好了嗎
我想見你…

 

波打ち際 すすんでは不意にあきらめて戻る
海辺をただひとり
怒りたいのか 泣きたいのか わからずに 歩いてる

站在岸邊 突然發覺不能再走下去了
我死心往回走
獨自一人走在海邊 不曉得該生氣 還是該哭泣

 

声をかける人を つい見つめる
彼があなただったら
あなただったなら

有個人來向我打招呼 我不知不覺間一直凝視著他
若他是你的話
若是你的話

 

強がる肩をつかんで
バカだなって叱って
優しくKissをして
嘘だよって 抱きしめていて
会いたい…

你會抓著我逞強硬挺的肩膀
大罵「妳是笨蛋」
再輕輕一吻
說這一切都是假的 緊緊抱著我
我想見你…

 

遠くへ行くなと言って
お願い一人にしないで
強く 抱き締めて
私のそばで生きていて

請説「不要離妳遠去」
拜託不要丟下我一個人
緊緊地 抱著我不放
永遠都待在我身邊

 

今年も海へ行くって
いっぱい 映画も観るって
約束したじゃない
あなた 約束したじゃない
会いたい…

今年我們也要去海邊
要看好多好多電影
不是說好了嗎
你 不是說好了嗎
我想見你…

 

 

  日文字幕版↓

会いたい - 沢田知可子

 

 漢文字幕版↓ 

澤田知可子 《 想見你 》
(動画の中で歌手名を「澤田可知子」と誤記していますが、正しくは「澤田知可子」です。)

 追記:

 蛇足ながら、この誤記の原因は「可知子」であれば「知るべき子」つまり「知ることのできる子」という意味になりますが、「知可子」では漢語として意味をなさないため、この歌詞を翻訳した台灣の友人が実名の「知可子」の方が誤記だと勘違いしたことによります。

 

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 「ハナミズキ」は、日本のシンガーソングライターの一青 窈(ひとと よう、台灣名:顏 窈〔がん  よう:イェン・ヤオ〕1976年9月20日 - )が自身5枚目のシングルとして2004年2月11日に発表した楽曲です。
 2010年8月には、この楽曲のイメージを実写化した映画が公開されて、興行収入27億円を超える大ヒットとなっています。

 

 一青 窈は台湾生まれで、台湾人の父親の顏恵民(がん けいみん:イェン・フイミン、1928年 - 1985年)の姓を引き継いで「顏 窈(がん よう:イェン・ヤオ)」と名付けられました。
 幼稚園卒園後に父親を台湾に残し、日本人の母親・姉と日本で生活することとなりました。
 小学校2年生の時に父親が肺癌で死去してからは、母親の姓の一青(ひとと)を名乗っています。
 「一青」とは、珍しい姓ですが、母親の出身地石川県発祥の名字で、石川県鹿島郡に地名としても存在します。(鹿島郡鳥屋町一青、2005年3月1日からは鹿島郡中能登町一青)
 その母親も、一青 窈が高校生の時に癌で亡くなっています。

 

 なお、一青窈の国籍については、彼女が生まれた1976年当時の日本の国籍法は「父系優先血統主義」を採っていたので日本の国籍は取得できず、「父母両系血統主義」を採っていた台灣(中華民国)の国籍になり、台灣の戸籍に「顏窈」と名付けて記載されていた筈です。
 1984年の日本の国籍法改正で、日本も「父母両系血統主義」になったので、その後日本国籍を取得して日本の戸籍に「一青窈」と名付けて届け出て、当面二重国籍になっていたものと思われます。
 その後、台灣で国籍離脱の手続きをして「国籍喪失許可証書」を取得していなければ、今でも二重国籍状態ですが、嘗ては国会議員でも蓮舫(れんほう)のように台湾との二重国籍の者もいたくらいなもので大した問題ではないでしょう。

 

 父親は台灣新北市に位置する山間の町九份(きゅうふん、チウフェン)の金鉱経営で成功し台湾の5大財閥に数えられた顏一族の長男でしたので、一青 窈も経済的には恵まれていたようです。
 しかしながら、両親共に早世したため家庭的には寂しかったようで、そのことが作風にも少なからず影響しています。

 

 「ハナミズキ」の歌詞は、詞語そのものは小学生にも解る平易なものですが、それらを組み合わせた各句や節は、省略が多く包括的で文意を掴みにくい難解なものです。

 

 この歌詞を読み解くヒントは、歌詞の創作背景にあります。
 一青はこの詞を、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件の発生直後、二ューヨークにいた友人からのメールをきっかけに、一週間ほどで書き上げました。
 作詞当時は、A4用紙3枚にも及ぶ長いもので、その内容は「テロ」・「散弾銃」といった詞語を羅列してテロリストへの怒りを詠ずる、一青本人の言によれば「挑戦的な詞」であったといいます。
 その後、2年半の間に推敲を重ねて詞語を削り、「君と好きな人が百年続きますように」の言葉にたどり着いた時には、最早テロリストへの恨みの詞ではなく、犠牲者の立場で残された家族への祝福のメッセージへと昇華していました。

 

 詞題の「ハナミズキ」は、多発テロとは無関係で、一青が慶応義塾大学の学生であった頃、しばしば訪れた東京都世田谷区の二子玉川にあるレストランやファッション雑貨の店などの入った商業ビル「ドッグウッドプラザ」に因んでいます。
 「ドッグウッド」とは英語でハナミズキの意であり、この店舗名が付けられたのは、二子玉川のシンボルの花とされているのがハナミズキであったことによります。

 

 ハナミズキは、 一青 窈の青春時代を彩っていた思い出の花なのです。
 楽曲「ハナミズキ」の歌詞は、包括的で詞的な表現で貫かれていますので、解釈を一つに限定することは不可能ですが、前述のとおり決して失恋の歌ではありません。

 

 伊賀山人個人としては、この歌詞は、本旨としては不慮の死を遂げた人が残された幼子の「百年の幸福」を祈っているものであり、それは一青 窈の幼い頃に死別した父親が娘を思う心情と一青 窈が母親を懐かしむ思いなど様々な想念を複合的に重ね合わせたものと解釈しています。
 ここで、「百年」の詞語は、「人生五十年」のイメージを持つ日本人にとっては大袈裟に聞こえるかもしれませんが、古来漢文化圏では「人生百年」と言い習わしており、「百年」とは「一生」或いは「生涯」と同義です。

 

 なお、緑字で付記した台灣國語歌詞は一青 窈自身が翻案して新たに作詞したもので、納得できるものを書くのに10年かかったと語っています。

 

 蛇足ながら、一青 窈の父系顏一族の先祖は、唐代の政治家・書家で当代随一の学者・芸術家として世に知られている顏 真卿(がん しんけい、 709年 - 785年)です。
 更にその先祖を遡ると、今から2500年前に孔子(こうし)の後継者と目されながら惜しくも孔子に先立って早逝した稀代の秀才  顏 回(がん かい)に行きつく古き名門です。

 

 

ハナミズキ(花水木)
四照花

             作詞・作曲・演唱: 一青窈
             台灣國語翻譯歌詞: 一青窈

 

空を押し上げて
手を伸ばす君 五月のこと
どうか来てほしい
水際まで来てほしい
つぼみをあげよう
庭のハナミズキ

無意間 伸出了雙手
回憶五月那天擁抱天空的往事
喜歡你走到我身邊
靜靜的慢慢走到這水邊
送你一朵待放的花
那是園裡的四照花

 

薄紅色の可愛い君のね
果てない夢がちゃんと
終わりますように
君と好きな人が
百年続きますように

我衷心地祈禱 美麗夢想能夠實現
祝福淡紅可愛的你和他
我衷心地祈禱 美夢成真的那一天
願你和心上人 百年好合

 

夏は暑過ぎて
僕から気持ちは重すぎて
一緒にわたるには
きっと船が沈んじゃう
どうぞゆきなさい
お先にゆきなさい

這夏天有些太炎熱
然而我對你的關愛又太過沉重
想和你一起到彼岸
但我知道小船會顛覆沉沒
所以請你一個人走吧
離開我安心的走吧

 

僕の我慢がいつか実を結び
果てない波がちゃんと
止まりますように
君とすきな人が
百年続きますように

我衷心地祈禱 雨過之後會有天晴
你們幸福相守 永世不渝
我衷心地祈禱 這世界風平浪靜
願你和心上人百年好合

 

ひらり蝶々を
追いかけて白い帆を揚げて
母の日になれば
ミズキの葉、贈って下さい
待たなくてもいいよ
知らなくてもいい

揚起了白色的風帆
輕輕地追趕飛舞在眼前的蝴蝶
母親節的那一天
獻給媽媽一片四照花的葉
沒關係 不用等我
不需要 知道太多

 

薄紅色の可愛い君のね
果てない夢がちゃんと
終わりますように
君と好きな人が
百年続きますように

我衷心地祈禱 美麗夢想能夠實現
祝福淡紅可愛的你和他
我衷心地祈禱 美夢成真的那一天
願你和心上人 百年好合

 

僕の我慢がいつか実を結び
果てない波がちゃんと
止まりますように
君とすきな人が
百年続きますように

我衷心地祈禱 雨過之後會有天晴
你們幸福相守 永世不渝
我衷心地祈禱 這世界風平浪靜
願你和心上人 百年好合

 

君とすきな人が
百年続きますように

美夢成真的那一天
願你和心上人 百年好合

 

 


花水木(中譯)

 

 

 おまけ:〔父母の思い出を語り「ハナミズキ」の漢訳版を披露する一青窈〕

台日混血歌姬一青窈 中文說唱樣樣行(20160901

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 「白いカイト」は、日本の歌手akko(あっこ)とギタリスト藤井謙二(ふじい けんじ)の二人組音楽ユニットMy Little Lover(マイ・リトル・ラバー)が、1995年7月3日 にリリースしたデビュー2枚目のシングル曲です。
 作詞・作曲は音楽プロデューサーの小林武史、この人はこの年の12月5日に発売された
1stアルバム『evergreen』からキーボード奏者として正式にこのバンドの演奏メンバーに加入しています。

 

 歌詞の内容は、愛されることよりも愛することを求める心優しい乙女の孤独と期待とを詠じたものですが、眼前に静かに広がる海、空、白いカイトなどに乙女の心情を重ね合わせて描写し、更に地球や宇宙までも詠いこむことによりスケールの大きな作品に仕上がっています。
 また、詩中に「夏の色」「白いカイト」「暗闇」「夕暮れの空」「銀色の波」などの色彩を感じさせる詩語を畳み掛けるように盛り込んで視覚に訴えています。
 更に、聴覚的には「暗闇を Knock…」や 「鼓動打ち 呼吸してる」など微かな音を連想させる詩句を使うことにより、却って眼前の白いカイトの見える景色の静けさを強調して、乙女の寂寥感を効果的に表現しています。

 

 この楽曲は、売上50万枚でそれほど大きなヒットにはなっていませんが、巧みな歌詞とそれに合わせた曲の変則的な楽節の区切りも不自然さを感じさせない佳作です。

 

 

 白いカイト
 白色風箏

                        作詞・作曲・編曲:小林武史
                        演唱:MY LITTLE LOVER
悲しみの言葉は 全部すてたい 
愛はひとつの言葉では 語れないけど 
悲しくなる程 誰かを愛したい
それに気づかぬフリをして 時は流れた

悲傷的話語 想要全部拋棄
雖然愛只用一個字 無法言喻
想要愛一個人 愛到悲傷滿心
裝作對此毫無察覺 時間就這樣逝去

 

そして今 Chance Chance Chance 逃している 自分ばかりが目につく
世界は私だけおいて回り続ける

於是現在 機會機會機會 正在錯失 顯眼的總是自己
世界唯獨把我留下 繼續轉動

 

空は夏の色に染まる 白いカイトも揺れている
心の中つないだ恋のタイトロープ渡りたい

天空染上夏日的色彩 白色風箏也在搖曳
想要從心中搭起的戀愛的鋼索上走過去

 

誰かの言葉に 惑わされぬように
そして誰かの痛みから 逃げ出さぬように

不要被某個人的話語迷惑
也不要從某個人的痛苦中逃脫

 

暗闇を Knock Knock Knock してる気持ち 手探りしてあせってる
だけど心は探してる かさねあう瞬間(とき)を

面對黑暗 敲門敲門敲門 的心情 摸索著又焦慮著
然而心卻在尋找 重合的瞬間

 

雲の切れ間からこぼれる 輝く予感を集めて
ここで今 鼓動打ち 呼吸してる oh my soul

把從雲的縫隙間溢出的 閃耀的預感聚集起
於此時此地 心的脈動 呼吸著 噢…我的靈魂

 

夕暮れの空に向かって 少年はカイトを上げてる
まるで地球と話をしてるみたいさ なめらかに

面向黃昏的天空 少年放飛了風箏
根本像是在和地球對話一樣啊 流暢地

 

(間奏)

 

ここで今 鼓動打ち 呼吸してる oh my soul
於此時此地 心的脈動 呼吸著 噢…我的靈魂

 

銀色の波に向かって 白いカイトは揺れている
まるで宇宙とダンスをしてるみたいさ 永遠に

面向銀色的波浪 白色風箏正在搖曳
根本像是在和宇宙共舞一樣啊 永遠地

 

 

 

 

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